イタリアの修道士の説法書から
22枚のアルカナと人間が神への理解に至る22段階
タロット・トリオンフィと22という数字
ラテン語タイトル: 「Sermo perutilis de Ludo」( Sermo =説教、perutilis =very useful、Ludo=ゲーム )
聖職者による匿名のラテン語文書とのこと。
1450~1500年頃、ドミニコ修道会かフランシスコ修道会いずれかの修道士による(後者が強く推されている)、下記の内容のタロット・トリオンフィ/Triumph ※に関する文書は、タロット研究史上の有益な情報として注目すべきことが主張されています。
旧約聖書の知恵の書が22巻であること、オルヴィエート大聖堂のバラの窓の光線が22で構成されていることとタロット・トリオンフィを結び付けることができる。バラの窓が太陽の象徴であると同時にキリストの象徴であることを考慮するに、22枚のアルカナは人間が理解に至る22段階、必要とされる22の知識に相当するものなのだろう。
" 22のタロット・トリオンフィ/Triumphは、不信者に対する説法という役割を果たすこともでき、「愚か者」が「神」に到達する「道」であり、22のステップで表しうるもの"
との記述がその文書に あります。
「ゲームなどの遊び」に対する一般的なお説教ではあるが、その中で神聖なイメージが用いられた22枚の絵札を、教会に対する冒とくだとする一方で、22のセットに注目しながら一定の評価もしている点が興味深い研究対象とされています。
参考:Ludus triumphorum (Robert Steele in Archaeologia 57 1900) (tarock.info)
★ヴィスコンティ・タロット・ベルガモパックにおいては、左の2枚が欠損=あとづけで作成され、22枚のセットに仕上げられています。現存しているヴィスコンティ・ベルガモ版の大アルカナというのは、実際には20枚のアルカナのみ。NYのモルガン美術館と、イタリア・ベルガモの美術館の2か所に保管されています。
この2枚が元々存在していなかった可能性が大いにありながらも、制作年1400年代に、アルカナ「塔」が存在していた事実を考慮すると大アルカナ22枚のセット」というパッケージ感があった可能性は否定できないものとなってきます。
推定1470年フェラーラー公爵ボルゾ・エステ侯爵のタロットには下記の通りの「塔」が含まれていました。