ステンドグラス・ウィンドウ・タロット

THE STAINED-GLASS WINDOWS TAROT

ルイジ・スカピーニ

作画家ルイジ・スカピーニのことば

はじめに

 私は長いこと、タロットデッキとステンドグラスの窓にたずわってきましたが、今ではイタリア、およびヨーロッパ中のゴシック様式のステンドグラス・ウィンドウに精通するようになり、アリストテレス・トミズム(アリトテリス主義&聖トーマス・アクィナスの学説)にも通じるようになり、それらの象徴学の息吹を吹き込まれるに至ります。

 私はまた、ルネッサンス哲学が基盤となるネオプラトニズムとこの思想を調和させようとしたマルシリオ・フィチーノ(Marsilio Ficino 1433年10月19日 - 1499年10月1日、イタリア・ルネサンス期の人文主義者、哲学者、神学者)の直観にも精通しています。ここにタロットデッキが現れた最初の世界があります。

中世以来、長いことカバラには新プラトン主義が深く取り入れられてきており、これがまたタロットにおける神秘主義の基にもなっているものです。マルシリオ・フィチーノはそこに、新プラトン主義とアリストテレス主義とをつなぐひとつの要素を見出したのです。

これらの仮説を立てることから、 私はそのシンボルが中世期のステンドグラスの窓に描かれ続けてきたものと同様のタロットカード・セットを創造したのです。22枚の大アルカナと56枚の小アルカナ、合計78枚のタロットカード・セットにおいて、3つの基本エネルギーと変成に必要な第4要素 の絡み合いがあるのです。

ソロモンの英知でさえも、これらのエネルギーの神秘すべて解明することはできませんでした。しかしながら私たちがタロットカードを使うのならば、これらのエネルギーというものを考慮に入れなければなりません。それよって今よりもっとその力について知ることができるはずです。

YOD-HE-VAU-HE

これらのエネルギーの内、第一にくるものを「ヨッド/ YOD」と呼びましょう。それはアクティブで、ポジティブで、私たちを強くしてくれるものです。それはまた、数字の1、始まり、思想と精神の世界、太陽、暖かさおよび明るい色に関連しています。

2番目のエネルギーは「ヘー/HE」と呼びましょう。ヨッドを反映し、維持するものであり、数字の2、あらゆるタイプのリアクション、感情の世界、月、深い探求の色に結び付けられています 。そして「ヴァウ/VAU」、これがいわゆる3番目のエネルギーであり、ヨッドとヘーを結びつけるもの、新しいユニットを形作るものです。数字の3、自然な均衡の世界、知識を示す青色に関連しています。

『第二のHE※1』を4番目のエネルギー、変成の力と呼びましょう。実際に、それは、YODとHEによって形成され、VAUにつなげられた新しいユニットを反映するものですが、HEに続くどのようなものについても、そこにはYODのエネルギーがあるはずなのです。二回目に登場するHEに続く何らかの文書に関しても、このYODの力は反映されていて然りである。

第二のHEは実際に、ヨッド/YODとヘー/HEとヴァウ/VAUの無限の連鎖の形成を可能にするつながりであり 、ヨッド/YODのエネルギーを持つタロットカードは、棒の王、すべてのエース、小アルカナ2-3、魔術師、大アルカナの7、およびその中の最初の3まで。

ヘー/HEのエネルギーは、カップ、クイーン、小アルカナの2、5、8、および4から7まで、教皇、大アルカナの7から13までに見いだせます。ヴァウ/VAUのエネルギーは、ソード、ナイト、小アルカナの13から19までに広げられます。『第二のHE』エネルギーは、剣、ページ、4、7および特定のYOD、皇帝、および大アルカナの19から21までです。

※1 ヘブライ文字4文字で「神」となり、その内「HE」は2回登場する

YOD- HE-VAU- HE=英語表記の「神」

文字と十二宮、身体部位の対応表 タロット解釈実践事典(国書刊行会) p.44より